「のみやまさん」の一帯は呑山地区といわれていますが、かつては「野美山」とも表記されていました。
野とは自然の深さを表し、野美山が自然豊かで美しい山であったことがうかがえます。

戦後の木材需要の増加により、日本各地で杉や檜が植林されて70年。
林業の衰退から、これらの森林に様々な問題が起こってきています。

呑山地区にも手の届かない植林地や竹林が多く見られます。
呑山観音寺は、境内の環境整備を進め、徐々に本来の自然の姿を取り戻す長期的な森林再生活動を行っています。
カッコウの声が響き、野鳥や動物が多く生息するこの環境を維持して参ります。

多くの人が集まる信仰の聖地、お遍路の霊場、近郊の人々の憩いの場という特徴を生かし、
人と、自然が共生する場所を子供たちに残していくのが目的です。


 
 
 
 




・花の霊場

皆さんが立ち入ることができるお堂や参道、駐車場周辺をいいます。
桜やコブシ、モミジなど沢山の木々が植栽されています。
ドウダンツツジやシャクナゲ、アジサイなどの植栽と並行し、
桜やモミジの樹勢の維持、病気・害虫の防除等を行い、
参拝の方やお遍路さんを迎えるための整備を進めます。



・修行の林

植林された杉、檜、高野槙などは、身の引き締まるような厳かな印象を受ける樹木です。
しかし、針葉樹林は人が管理をしなければ、光が入らなくなり、
いずれ土砂の流出を引き起こし、がけ崩れの原因となります。
これらの林は強めに間伐し、下草を刈りこみ、その間に中低木を植栽します。
光を当て、風通しを良くし、長く維持する針葉樹林を育てます。



・紅葉の森

紅葉の「のみやまさん」で知られる呑山観音寺にはモミジの他、
山桜やアカシデなど、美しい落葉樹が自生しています。
今ある森の他に、荒れた竹林や、薮を整理し、
モミジや山桜を中心に植栽を進め、明るい森を形成します。
この森は花、新緑、紅葉、樹氷など四季折々の表情を私たちに見せてくれます。
また、野鳥や、動物、昆虫にとっても過ごしやすい場所となります。



・野美山の杜

タブ・マテバシイ、スダシイなどの照葉樹は九州地方の極相林を形成する木々です。
照葉樹の花は、ニホンミツバチにとって花の少ない時期の貴重な密源となります。
これらの木を大切に残しつつ、間伐し、落葉樹を少し混ぜることで、
動物や野鳥の集まる森を作ります。
また、堂宇から遠く離れた竹林は伐採後、クヌギやコナラ、ブナなどの
ドングリの木(落葉広葉樹)を中心に森づくりを進めていきます。